民法債権法の改正が2017年5月26日に成立され、2018年6月13日に成年年齢引下げの改正が成立、そして、2018年7月6日に相続法の法案が成立しました。
民法相続法の改正では、高齢化社会が進み、残された配偶者の生活の確保等を背景として主に次の改正がされています。
1. 配偶者の居住権の確保
2. 相続人以外の者が被相続人の療養看護等をした場合には、相続人に対して金銭の支払いを請求することができることになります。
3. 婚姻期間20年以上の夫婦間における住居の生前贈与が特別受益の対象外となります。
4. 遺産分割前に預貯金の一部払い出しができる。
5. 自筆証書遺言の財産目録の作成をPCでできるようになりました。また、自筆証書遺言が法務局で保管することができるようになりました。
実状を考慮したとても使い勝手の良い改正といわれていますが、下記のとおり相続対策にいくつか影響を及ぼすことがあります。
例えば、今回の改正の1.では配偶者に財産を相続しやすくなりますが、もともと配偶者には税額軽減の優遇措置がありますので、相続税がかからないケースが多いです。
配偶者に対する相続財産が多くなるとその配偶者が次に亡くなった場合には、子等への相続財産が多くなり親族間におけるトータルの税金の負担が多くなります。
また、2.では相続人以外の親族が貢献などに伴い財産を請求することができるようになりますと、相続人の配偶者などが相続争いに参入してくることとなり、相続対策で留意すべきことが多くなってくる可能性もあります。
従いまして、今回の改正を踏まえた相続対策を考える必要がありますので、しっかりと把握しておく必要があります。
施行日は、債権法改正の施行日よりも早く原則として1年以内となりますが、自筆証書遺言の自筆でない財産目録の改正は6ヵ月以内(2019年1月13日)に、配偶者の居住権及び自筆証書遺言の保管制度は2年以内となります。
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