本試験問題の解き方!
こんにちは。資格の大原行政書士講座の松井です。
このコーナーでは、過去の試験で出題された問題をピックアップしてご紹介しています。
クイズ感覚でチャレンジしてみてください。
本試験での問題の解き方の作戦を考えておきましょう!
せっかく、実力はあるのになぜか試験でうまく発揮できない、思うように知識が得点につながらない、というようなお悩みをよくいただきます。
確かに本試験会場での緊張からか、覚えていたはずの知識がうまく出てこなかった、ということもあるでしょう。
でも、もう少しよく思い出してみてください。
正解すべき問題をミスしていませんか?
例えば、平成28年度の問題ですと、問題3に時間をかけすぎて問題5をミスしていませんか?
問題5は明らかに条文の知識のみで確実に正解できる問題です。
つまり、難しい問題に時間をかけすぎて、かえって易しい問題が正解できなくなってしまうということがなかったかどうか、思い出してみましょう。
そして、本試験対策を考えましょう。
本試験対策を考えよう!
対策① 難しい問題の直後にチャンスあり!難しい問題は後回し!
難しい問題、出題意図がわかりにくい問題の直後には易しい問題が出題されていることが多いです。
例えば平成23年度の問題5は事例問題であり、頭を使わせる問題ですが、次の問題6は条文の解釈について出題されています。すでに過去にも問われたことのある事項でもあり、正解できる問題です。
また、平成26年度の問題4も出題意図が理解しにくい問題です。
これに対して問題6は驚くほど簡単な問題です。問題文も短いです。
ですから、難しい問題は後回しにして確実に正解できる問題をゲットしましょう!
では、ウォーミングアップに次の問題にチャレンジしてみてください。
◆◇平成26年度 問題6◆◇
内閣に関する憲法の規定の説明として正しいものはどれか。
1 内閣総理大臣は、衆議院議員の中から、国会の議決で指名する。
2 国務大臣は、内閣総理大臣の指名に基づき、天皇が任命する。
3 内閣は、衆議院で不信任の決議案が可決されたとき、直ちに総辞職しなければならない。
4 内閣は、総選挙の結果が確定すると同時に、直ちに総辞職しなければならない。
5 内閣は、総辞職の後、新たに内閣総理大臣が任命されるまで引き続き職務を行う。
いかがでしょうか?
正解は「5」ですね。
1× 内閣総理大臣は、「国会議員の中から」国会の議決で、指名される(憲法67条1項)。
よって、本肢のように「衆議院議員の中から、……指名する」とはいえない。
2× 「内閣総理大臣は」、国務大臣を任命する(憲法68条1項)。天皇は、内閣総理大臣の任命した国務大臣を認証する(憲法7条五号)。
よって、本肢のように「国務大臣は、内閣総理大臣の指名に基づき、天皇が任命する」とはいえない。
3× 内閣は、衆議院で不信任の決議案が可決されたときは、「10日以内に衆議院が解散されない限り」、総辞職をしなければならない(憲法69条)。
よって、本肢のように「衆議院で不信任の決議案が可決されたとき、直ちに総辞職をしなければならない」とはいえない。
4× 内閣は、「衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があったときは」、総辞職をしなければならない(憲法70条)。
よって、本肢のように「総選挙の結果が確定すると同時に、直ちに総辞職しなければならない」とはいえない。
5○ 本肢の通りである。内閣は、総辞職の後、新たに内閣総理大臣が任命されるまで引き続き職務を行う(憲法69~71条)。
対策② 難しい問題の解き方も考えてみよう!
難しい問題、出題意図のわからない問題は必ず出ます。
ですから、そのような問題が出題されたときの対処法を考えておくことが大切です。そうすれば、慌てなくてすむのです。
まず、対策①でも申し上げました通り、「難しい問題は後回し」です。
最後に10分ほど時間を余らせ、再度チャレンジすることとしましょう。
難しい問題は受験生のほとんどの方は解けません。その問題が解けないからといって不合格にはならないのです。
でも難しい問題も学習上では面白い問題ではあります。
例えば平成23年度の問題5を題材に一緒に考えてみましょう。
◆◇平成23年度 問題5◆◇
写真家Aが自らの作品集をある出版社から発売したところ、これに収録された作品のいくつかが刑法175条にいう「わいせつ」な図画に該当するとして、検察官によって起訴された。自分が無罪であることを確信するAは、裁判の場で自らの口から「表現の自由」を主張できるように、慌てて憲法の勉強を始め、努力の甲斐あって次の1~5のような考え方が存在することを知ることができた。
このうち、本件の事案において主張するものとして、最も適しない考え方はどれか。
1 わいせつ表現についても、表現の自由の価値に比重を置いてわいせつの定義を厳格にしぼり、規制が及ぶ範囲をできるだけ限定していく必要がある。
2 表現の自由は「公共の福祉」によって制約されると考える場合であっても、これは他人の人権との矛盾・衝突を調整するための内在的制約と解すべきである。
3 憲法21条2項前段が「検閲の禁止」を定めているように、表現活動の事前抑制は原則として憲法上許されない。
4 表現の自由に対する規制が過度に広汎な場合には、当事者は、仮想の第三者に法令が適用されたときに違憲となりうることを理由に、法令全体の違憲性を主張できる。
5 文書の芸術的・思想的価値と、文書によって生じる法的利益の侵害とを衡量して、前者の重要性が後者を上回るときにまで刑罰を科するのは違憲である。
いかがでしょうか?
本問は表現行為に対して刑法175条で処罰することが違憲であるとの根拠とならないものはどれか?という問いです。
一見すると難しそうです。
選択肢の内容自体も検討するのに時間がかかりそうですよね。
でも、じつはこの問題はとっても簡単です。事例を説明する文章の中に大きなヒントが隠されています。
写真家Aが「作品集をある出版社から発売した」とあり、「刑法175条にいう「わいせつ」な図画に該当するとして、検察官によって起訴された。」とあるので表現行為に対し、事後的に規制されていることがわかります。
つまり、これは「事後規制」のケースです。
ですから、「事前抑制」について記載されている選択肢3はAの無罪主張の根拠にはならないのです。ということで正解は「3」でした。
全然難しくないですよね。
一見難しそうな問題ほど、実は単純な思考で解けるものが多いのです。
種を明かせばかなり簡単なのです。
でもこの解法を試験時間のなかで気付くことが難しいのです。
だから、後回しでいいのです。でも気付くと「なぁんだ!」という感じで面白いですよね。