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本試験問題にチャレンジ!

こんにちは。資格の大原行政書士講座の松井です。

このコーナーでは、過去の試験で出題された問題をピックアップしてご紹介しています。

後ろの方に解答と解説を載せますので、クイズ感覚でチャレンジしてみてください。


平成26年 問題31

AがBから金1000万円を借り受けるにあたって、CおよびDがそれぞれAから委託を受けて保証人(連帯保証人ではない通常の保証人で、かつお互いに連帯しない保証人)となり、その後CがBに対して、主たる債務1000万円の全額を、同債務の弁済期日に弁済した。

この場合に関する以下の記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものはどれか。

なお、CD間には負担部分に関する特段の合意がないものとする。

1 CはAおよびDに対して求償することができ、求償権の範囲は、Aに対しては、1000万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金に及び、Dに対しては、500万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金に及ぶ。

2 CはAおよびDに対して求償することができ、求償権の範囲は、Aに対しては、1000万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金等に及び、Dに対しては、500万円である。

3 CはAに対してのみ求償することができ、求償権の範囲は、1000万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金等に及ぶ。

4 CはAに対してのみ求償することができ、求償権の範囲は、500万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金等に及ぶ。

5 CはDに対してのみ求償することができ、求償権の範囲は、500万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金に及ぶ。


いかがでしょうか?

正解は選択肢の2です。

問題を見ると、登場人物はAからDま4人もいます。これだけでも「面倒な感じ」がしますよね。そして選択肢もどれも似たような文章が並んでいます。

でも、この選択肢の文章は受験生にとって大きなヒントになっています。

選択肢の文章の前半を見て下さい。「Cは、~に対して求償することができ」という形式で始まっています。そして後半は「求償権の範囲は」という言葉が共通しています。

つまり、この問題で問われていることは「求償の相手方」と「求償権の範囲」なのです。まず問題文の質問の意図がわかりましたね。

問題文の意図がわかるということは試験ではとても大切なことです。何を問われているかがわかれば思い出すべき知識も明確になってくるからです。

この問題で主債務者はAですね。保証人であるCは主債務の全額を弁済していますから、まずAに求償できるのは当然ですよね(459条1項、2項、442条2項)。

ですから求償の相手方にAが含まれていない選択肢の5は誤りですから消去しましょう。

では、Dに対しては求償できるでしょうか?

Cは共同保証人であるDに求償することができます。

保証人C・Dは、普通の保証人であり、Dは、分別の利益をもっています(民法456条、427条)。

分別の利益とは、共同保証人の頭数に応じて保証債務につき分割して債務を負担するという利益です。本問に則して言えばCとDはお互いに500万円の範囲で保証債務を負担しているということになります。

Cは本来500万円の範囲でのみ保証債務を負担すれば足りるのに全額を弁済したのですから、自己の負担額を超えた部分についてはDにも求償できます(民法465条2項、462条)。

よって、CはAにもDにも求償できます。

ここで選択肢の3と4は誤りとして消去できますね。

次に選択肢の1と2のどちらが正しいか、検討しましょう!

両者の違いは求償の範囲です。

CはAより委託を受けた保証人であり、債権者に弁済した場合には主たる債務者に対して、弁済した金額1000万円全額、免責日以降の利息及び避けることができなかった費用その他の損害賠償金を求償することができます(民法459条1項、459条2項、442条2項)。

Dに対してはは500万円の求償は可能です。

Dは分別の利益を有しているので委託を受けない保証人と似ています。

ゆえに、その求償権の規定が準用されています(民法465条2項、462条)。

したがって、利息、遅延損害金を求償することはできません。

じゃぁ次コレ解いてみよう!

平成20年 問題33 選択肢エとオについて解いてみましょう。


問題33 A、B、C三人がDから自動車1台を購入する契約をし、その売買代金として300万円の債務を負っている場合に関する次のア~オの記述のうち、正誤を判断してください。

エ 自動車の売買代金300万円について、A、B、Cの三人が連帯債務を負担する場合において、Aの債務についてだけ消滅時効が完成したときは、Aの負担部分については、BおよびCも、その債務を免れる。

オ 自動車の売買代金300万円について、A、B、Cの三人が連帯債務を負担する場合において、Aについては制限行為能力を理由に契約の取消しが認められるときには、Aの負担部分については、BおよびCも、その債務を免れる。


いかがでしょうか?

今度は連帯債務の問題です。

保証債務も連帯債務も複数の登場人物が出てくるので、共通点がありますね。

頭を整理しながら問題文を正確に読みましょう!

いかがでしょうか?

選択肢エは「○」ですね。

連帯債務者の1人について消滅時効が完成した場合、他の連帯債務者も、時効が完成した連帯債務者の負担部分について債務を免れます。

よって、本肢の場合、連帯債務者Aの債務についてだけ消滅時効が完成したときは、Aの負担部分については、他の連帯債務者B及びCも、その債務を免れることができます(民法439条)。

選択肢のオは「×」ですね。

連帯債務者の1人について法律行為の無効又は取消しの原因があっても、他の連帯債務者の債務は、影響を受けません。

よって、本肢の場合、連帯債務者Aについて制限行為能力を理由に契約の取消しが認められるときであっても、Aの負担部分について、他の連帯債務者B及びCが、その債務を免れることはありません(民法433条)。

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