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本試験問題にチャレンジ!

こんにちは。資格の大原行政書士講座専任講師の松井です。

このコーナーでは、過去の行政書士試験で出題された問題をピックアップしてご紹介しています。

メルマガの後ろの方に解答と解説を載せますので、クイズ感覚でチャレンジしてみてください。


■■■ 平成27年 問題46 ■■■

AとBは婚姻し、3 年後にBが懐胎したが、その頃から両者は不仲となり別居状態となり、その後にCが出生した。Bは、AにCの出生を知らせるとともに、Aとの婚姻関係を解消したいこと、Cの親権者にはBがなること、およびAはCの養育費としてBに対し毎月20 万円を支払うことを求め、Aもこれを了承して協議離婚が成立した。ところが離婚後、Aは、Bが別居を始める前から他の男性と交際していたことを知り、Cが自分の子であることに疑いを持ったこのような事情において、Cが自分の子でないことを確認するため、Aは誰を相手として、いつまでに、どのような手続をとるべきか。民法の規定および判例に照らし、とるべき法的手段の内容を40 字程度で記述しなさい。


合格者の方は問題45では苦労されてましたが、こちらの問題は何とか書くことができた、という感想をお持ちのようです。

実は平成22年度の択一試験問題が本問と同じ分野から出題されておりました。

参考になりますので後ほどご紹介いたします。

本問では、Aは「Cが自分の子であることに疑いを持った」「Cが自分の子でないことを確認するため」とありますのでAとCの親子関係を否定する手続きは何か?が問われているということがわかります。

この問題では色々と事情が書いてありますので、結局何が問われているのか?を整理することが大切ですね。

さて、記述問題の解答を作成するには問題文の末尾に注目すると良いです。

答えるべきポイントが示されているからです。

本問で答えるべきポイントは3つですね。

Aは、

①「誰」を相手として、
②「いつまで」に、
③どのような「手続」をとるべきか、

の3点ですね。

事実関係を整理してみましょう。BがCを、婚姻から3年後に懐胎しています。

つまりCは「婚姻成立の日から200日後」に生まれた子ということになりますから、「夫(A)の子」と推定されますね(772条2項)。

Cは「嫡出推定が働く子」というわけですね。

嫡出推定が働く子との親子関係を否定する方法は「嫡出否認の訴え」によることが必要です(774条)。

これでAのとるべき「手続」が嫡出否認の訴えであることがわかりました。

では「誰」を相手に訴えを起こせばよいでしょうか?

「子又は親権を行う母」です(775条)。

そして、「いつまで」に訴えを起こせばよいのでしょうか?

「夫が子の出生を知った時から1年以内」に提起しなければなりません(777条)。

これは父子関係の早期確定のためです。

3つのポイントが全て出ましたのでいざ、答案作成!ですね。

◆正解は一番下に掲載

記述のヒントは択一にあり!


■□ 平成年 問題34 選択肢4・5 □■

問題34 A男と、B女が出産したCとの関係に関する次の記述のうち、民法の規定または判例に照らし、誤っているものはどれか。

4 Aによる嫡出否認の訴えは、AがCの出生を知った時から1年以内に提起しなければならないが、Aが成年被後見人である場合には、この期間は後見開始の審判の取消しがあった後にAがCの出生を知った時から起算する。

5 Aが嫡出否認の訴えを提起する場合において、Cが幼少で意思能力を有せず、かつ、Bがすでに死亡しているときには、Cの未成年後見人がいるときであっても、家庭裁判所が選任した特別代理人を相手方とする。


この文章は○でしょうか×でしょうか?

□■ 答え ■□

まず、選択肢4の解答は「○」です。

嫡出否認の訴えは、夫が子の出生を知った時から1年以内に提起しなければならない。(民法777条)。

また、夫が成年被後見人であるときは、この期間は、後見開始の審判の取消しがあった後夫が子の出生を知った時から起算される(民法778条)。

よって、本肢の場合、成年被後見人Aによる嫡出否認の訴えは、後見開始の審判の取消しがあった後にAが子Cの出生を知った時から1年以内に提起しなければならない。

記述の内容を発展させた問題となっていますが、条文に書いてあることですね。

「知らなかった!」という方はこの問題で記憶しておきましょう!

次に選択肢5の解答は「○」です。

嫡出否認の訴えの相手方は、子又は親権を行う母であるが、子に意思能力がないときは、母となる。

また、親権を行う母がないときは、家庭裁判所が選任した特別代理人となり、これは、子に未成年後見人がいるときも同じである。よって、本肢の場合、Cは意思能力を有せず、Bは死亡しているので、Aによる嫡出否認の訴えの相手方は、家庭裁判所が選任した特別代理人となる(民法775条)。

これも条文の問題でしたね。

択一問題には記述問題のヒントがたくさん眠っています。

「宝探し」のつもりで択一問題に取り組んでみましょう。

トレジャー・ハンターはあなたです!

本試験問題にチャレンジ!の解答・解説

【解答例】

B又はCを相手として、Cの出生を知ったときから1年以内に、嫡出否認の訴えを提起する。

本問は条文の要件を問うものでした。記述の問題は条文の要件を問うものが多いです。基礎的な出題が多いのです。記述問題恐れるなかれ!

ちなみに大原は2015年度記述演習の授業で嫡出否認の訴えについて大原オリジナル記述問題を作成し、解説をいたしました。

大原の予想、的中!なんです。

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