本試験問題にチャレンジ!
こんにちは。資格の大原行政書士講座専任講師の松井です。
このコーナーでは、過去の行政書士試験で出題された問題をピックアップしてご紹介しています。
記事の後ろの方に解答と解説を載せますので、クイズ感覚でチャレンジしてみてください。
■■■ 平成28年度 問題48 ■■■
2015 年夏に成立し公布された改正公職選挙法*による参議院選挙区選出議員の選挙区・定数の改正および改正後の状況に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。
1選挙区のあり方を見直す必要性を指摘した最高裁判所判決が改正より前に出ていた。
2定数が増加した選挙区はいずれも三大都市圏にある。
3定数が減少した選挙区はいずれも三大都市圏にない。
4区域が変更された選挙区が中国地方と四国地方に生じた。
5改正後も全国の選挙区の総定数に変更は生じていない。
(注) * 公職選挙法の一部を改正する法律(平成27 年法律第60 号)による改正後の公職選挙法
■■■ 問題48 正解2 ■■■
いかがでしたでしょうか?
選挙制度は重要なので、いつも「ヤマ」を張っているべき分野だと思います。
では、解説です。
1○ 最大判平成21.9.30、最大判平成24.10.17 などがあります。
2× 定数が増加した選挙区は、北海道、東京都、愛知県、兵庫県、福岡県にあり、三大都市圏以外にもあります。
3○ 定数が減少した選挙区は、宮城県、新潟県、長野県にあり、三大都市圏にはありません。。
4○ 区域が変更された選挙区は島根県、鳥取県、徳島県、高知県に生じました。
5○ 10増10減なので全国の選挙区の総定数には変更は生じていません。
選挙制度は今年も出るかも!?本試験問題、これもやってみよう!
選挙制度は試験では常に出題される分野と思っていてよいでしょう。
日本国憲法は国民主権主義をとっています。
ということは国民が日本の政治の在り方を決めるのです。
ですから国民の声を政治に反映させる一番のチャンスは選挙のとき、というわけですね。
更に、選挙制度は1票の格差を是正するために常に見直しを迫られているからです。
では、議員定数不均衡と法の下の平等が問題となった判例の出題を見ておきましょう。
■■■ 平成16年度からの出題 ■■■
投票価値の平等に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例の趣旨に適合していないものはどれか。
1 形式的に1人1票の原則が貫かれていても、投票価値が平等であるとは限らない。
2 選挙人資格における差別の禁止だけでなく、投票価値の平等も憲法上の要請である。
3 投票価値の平等は、他の政策目的との関連で調和的に実現されるべきである。
4 法改正に時間がかかるという国会側の事情は、憲法判断に際して考慮すべきでない。
5 参議院議員の選挙については、人口比例主義も一定程度譲歩・後退させられる。
本試験問題の解答・解説
■■■ 正解4 ■■■
1「判例の趣旨に適合しています」
判例は「各選挙人の投票価値に実質的な差異が生ずる場合には、常に右の選挙権の平等の原則との関係で問題を生ずる」としており、判例の趣旨に適合しています(最大判S51.4.14)。
2「判例の趣旨に適合しています」
判例は「選挙権の内容、すなわち各選挙人の投票の価値の平等もまた、憲法の要求するところであると解する」としており、判例の趣旨に適合しています(最大判S51.4.14)。
3「判例の趣旨に適合しています」
判例は「原則として、国会が正当に考慮することのできる他の政策的目的ないしは理由との関連において調和的に実現されるべきものと解さなければならない」としており、判例の趣旨に適合しています(最大判S51.4.14)。
4「判例の趣旨に適合していません」
判例は「直ちに当該議員定数配分規定が憲法に違反するとすべきものではなく、憲法上要求される合理的期間内の是正が行われないとき初めて
右規定が憲法に違反するものというべきである」としており、法改正に時間がかかるという事情も、憲法判断に際して考慮されることになります(最大判S60.7.17)。
5「判例の趣旨に適合しています」
判例は「常に各選挙区への議員定数の配分につき厳格な人口比例主義を唯一、絶対の基準とすべきことまで要求するものとは解されない」としており、判例の趣旨に適合しています(最大判S58.4.27)。
いかがでしたでしょうか?
最新トピックスに注目しながらも、基本知識は忘れずにメンテナンスしておきましょうね!