行政書士受験生の皆さん、こんにちは。
大原の専任講師の松井です。
今回は「難民」についてです。
試験委員の先生も関心を持たれている分野になります。
下記は平成26年度の問題54で出題されたものです。考えてみてください。
2.難民の地位に関する条約は、難民の人権保障と難民問題解決のための国際協力を効果的にするためのものであり、日本も加入している。
答えは「○」です。
日本は昭和56年に難民条約(難民の地位に関する条約)に、加入しています。なお、昭和57年に難民議定書にも加入し、昭和57年1月1日から同条約・議定書が我が国について発効することになりました。
5.日本では、かつて、1975年のベトナム戦争終結期に生じた「インドシナ難民」といわれる人々を受け入れる措置をとった。
答えは「○」です。
我が国の昭和53年から受け入れが終了した平成17年末までのインドシナ難民定住受入れ数は11,319人です。
「インドシナ難民」についてご説明いたします。1975年のベトナム戦争終結に相前後し、インドシナ3国(ベトナム・ラオス・カンボジア)では新しい政治体制が発足し、そうした体制になじめない多くの人々がその後に数年に亘り、国外へ脱出しました。これらベトナム難民、ラオス難民、カンボジア難民を総称して「インドシナ難民」と呼んでいます。
では、そもそも、難民とはだれを指すのでしょうか?
出入国管理及び難民認定法(以下、入管法と呼びます)では「難民」の定義について、「難民の地位に関する条約(以下、難民条約という)第1条の規定又は難民の地位に関する議定書第1条の規定により難民条約の適用を受ける難民をいう。」と定めています。
この難民条約、議定書上の難民の定義は、
1.人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に、迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有すること
2.国籍国の外にいる者であること
3.その国籍国の保護を受けることができない、又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者であること
となっています。
よって、入管法の「難民」には「政治難民」のみが含まれ、災害難民や経済難民は「難民」の定義には含まれないことになります。
いかがでしたでしょうか?
ありがとうございました。