行政書士受験生の皆さん、こんにちは。
大原の専任講師の松井です。
今回は「難民」問題に対する日本の取組みについてです。下記は平成26年度の問題54で出題されたものです。考えてみてください。
1.国際連合難民高等弁務官事務所は、国際連合の難民問題に関する機関であり、かつて、緒方貞子が高等弁務官を務めたことがある。
答えは「○」です。
緒方貞子さんは、1991~2000年に国連難民高等弁務官を務めました。
では国連難民高等弁務官事務所とはどのような役割を担っている機関なのでしょうか?
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、パレスチナ難民を除く世界各地の難民の保護と支援を行う国連機関です。1949年国連総会決議により設立が決定され、1951年1月から活動が開始されました。本部はジュネーブにあります。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は日本を含む世界126か国で活動を展開しています。世界各地の難民に対する国際的保護の付与、水・食糧、住居、教育の提供等の生活支援に加え、難民問題の恒久的解決(自発的帰還、現地定住、第三国定住)を図る活動などを行っています。
なお、第三国定住とは、難民キャンプなどで一時的な庇護を受けた難民を、当初庇護を求めた国から新たに合意した第三国へ移動させることで、難民は移動先の第三国において庇護あるいはその他の長期的な滞在権利を与えられることになります。
我が国と国連難民高等弁務官事務所(UNCHR)との関係についてご説明しましょう。
我が国は、難民等に対する人道支援を国際貢献の重要な柱の一つとして位置づけ、アフガニスタン及び周辺国地域を含むアジア地域、シリア及び周辺国を含む中東・北アフリカ地域並びにアフリカ地域を重要地域として、UNHCRを通じた難民等の避難民支援を積極的に実施しています。
我が国がUNCHRに拠出している金額は平成28年(2016年)では約1億6500万ドル、拠出率4.3%で、拠出順位は第5位となっています。
平成28年の我が国における難民認定者数等についてご紹介しましょう。
我が国において難民認定申請を行った者は10,901人(約1,1000人)であり、前年に比べ3,315人(44%)増加しました。
そのうち、難民として認定した者は28人でした。また、難民とは認定しなかったものの、人道的な配慮が必要な者として在留を認めた者は97人であり、難民として認定した者を合わせた125人が我が国での在留を認められました。
難民認定申請を行った者の主な国籍は、
・インドネシア 1,829人
・ネパール 1,451人
・フィリピン 1,412人
となっています。
いかがでしたでしょうか?
ありがとうございました。