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本試験問題にチャレンジ!

こんにちは。資格の大原行政書士講座専任講師の松井です。

このコーナーでは、過去の行政書士試験で出題された問題をピックアップしてご紹介しています。

クイズ感覚でチャレンジしてみてください。

択一問題に強くなるためには多くの問題を解くことも大切です。

けれど、別々の制度と思われるものでも1つのテーマのもとに出題している問題があります。このテーマが出題者の意図というわけですね。

出題者の意図がわかるとなぜその分野が出題されるのか、どのように覚えれば問題に対してすぐ反応できるようになるのか、がわかるようになってきます。

では、頑張りましょう!


■■■ 平成13年 問題6 ■■■

憲法が定める「身分保障」に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 最高裁判所裁判官の報酬は、在任中、これを減額することができない。

2 下級裁判所裁判官の報酬は、在任中、これを減額することができない。

3 内閣総理大臣の報酬は、在任中、これを減額することができない。

4 裁判官は、原則として、公の弾劾によらなければ罷免されない。

5 国会議員は、議院で行った演説、討論、表決につき、院外で責任を問われない。


いかがでしょうか?

正解は「3」です。

選択肢の3のような条文はありませんね。

ところで、選択肢の1、2、3は文章が似ていますね。

裁判官の報酬は最高裁判所の裁判官も、下級裁判所の裁判官も在任中は減額されない旨の条文がありますね(憲法79条6項、80条2項)。

ところが、内閣総理大臣にはこの旨の条文はありません。

なぜでしょうか?

裁判官の報酬が減額されない旨の規定があるのは、「司法権の独立」という憲法上の要請があるからなのです。

裁判は中立、公正な立場で行われ、人権の保障が確保されなければならないので、行政権、立法権によって司法権の行使が左右されるべきではないとの考え方です。司法権の独立のため、ひいては裁判官の独立のために裁判官の報酬に関する規定があるのです。

選択肢の4は憲法78条の制度をきいています。これも裁判官の罷免事由を憲法上限定することにより司法権の独立を守ろうとする趣旨です。

選択肢の5は憲法51条についてのものです。免責特権を定めることにより国会議員の自由うな発言を保障し、議会の権能を確保することにあります。

同じテーマは繰り返される!

では、次の問題を考えてみてください。


■■■ 平成24年 問題4 ■■■

次の記述のうち、憲法の規定に照らし、正しいものはどれか。

1 国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。

2 両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、開会後直ちにこれを釈放しなければならない。

3 両議院の議員は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。

4 国務大臣は、議院で行った演説、討論又は表決について、院外で責任を問われない。

5 国務大臣は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、問責決議によらなければ罷免されない。


正解は「1」です。

1○ 国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない(憲法75条)。

2× 両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、「その議院の要求があれば」、
会期中これを釈放しなければならない(憲法50条)。

3× 両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける(憲法49条)。しかし、この報酬が、在任中減額されないことまでは保障されていない(cf.憲法79条6項、80条2項)。

4× 国務大臣の免責特権は、憲法上保障されていない。なお、国会議員の免責特権は、憲法上保障されているが(憲法51条)、国会議員ではない国務大臣も存在する場合があるから(憲法68条1項)、この規定をもって国務大臣の免責特権が憲法上保障されているとはいえない。

5× 内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる(憲法68条2項)。

いかがでしょうか?

平成13年度の出題とテーマは同じだと思います。

今度は裁判官については出題れていませんが、国会議員、国務大臣について出題していますね。

形式は違いますが、2つの問題は同じテーマのものとしてもう一回条文を読み直してみると新鮮に頭の中に入ってくるとおもいます。

試してみて下さい!

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