行政書士受験生の皆さん、こんにちは。
大原の専任講師の松井です。
今回は「公債依存度」のお話です。
公債依存度とは、歳出額に対する公債発行額の割合です。「公債発行額÷一般会計歳出総額」という式で計算することになります。
家庭に例えて言うならば、ご自分の家の家計のなかでどれだけ借金に頼っているか、という割合になります。家計支出に対して借金で賄う割合が大きいとその家の経済状態はあまりいい状態ではない、といえますよね。
平成29年度当初予算の公債依存度はどのくらいだったのでしょうか?
・平成29年度歳出額 約97.5兆円
・公債発行額 約34.4兆円
という数字です。公債依存度は約35.3%となります。
以前はどうだったのでしょうか?
財務省主計局が平成28年度12月に発表した資料によりますと、
・平成27年度が35.5%(決算)
・平成28年度が38.9%(第3次補正予算後)
でした。
では、公債依存度が高くなることで日本の財政の赤字が増えてしまうと困ることは具体的にどんなことでしょうか?
一つは「政府の実施する政策の自由度が低下」してしまうことです。
公債は借金ですから償還しなければなりません。その償還のための費用も増加傾向にあることになります。つまり、お金の使い道はまず償還することが中心となってしまうため、実施したい政策もお金が無いためにできないことになります。
簡単に申しましょう。
一般家庭の収入の使い道を考えてみてください。まず、住宅ローンの月々の返済のためのお金は必ず払わなければなりませんよね。その額が大きすぎると、「新車を買いたい!」と思っても買えないという事態が起こります。
あるいは突然、病気で入院しなければならなくなったということもあるでしょう。以上のように、借金の返済以外に使えるお金が少なくなってしまうことになってしまうのです。
二つめは公債依存度が高くなると「世代間の不公平」をもたらすことです。
公債は将来の政府が償還するものです。将来の政府のお金はその時代の国民の税金です。つまりいま、公債を発行することは将来の国民に負担を負わせることになります。自分達の子や孫にまでツケを負わせることになってしまうのです!
最後に諸外国の公債依存度をご紹介しましょう。2017年のデータです。
・アメリカ 10.8%
・イギリス 4.4%
・ドイツ 2.0%
いかがでしたでしょうか?
ありがとうございました。