本試験問題にチャレンジ!
こんにちは。資格の大原行政書士講座の松井です。
このコーナーでは、過去の試験で出題された問題をピックアップしてご紹介しています。
さて、最近よく「改憲」という言葉を耳にします。
憲法改正の手続きについては憲法96条に定められています。
そこでまず、憲法改正についての手続きをおさらいしてみましょう。
■■■ 平成13年 問題7 ■■■
1 憲法の改正は国会が発議するが、そのためには、各議院の総議員の3分の2以上の賛成が必要となる。
いかがでしょうか?
この選択肢は正解ですね。
確実に正解と判断できるために、文章の中でチェックすべき言葉を紹介しましょう。「発議」「各議院」「総議員」「3分の2以上」ですね。
この選択肢は憲法改正の発議の要件の問題です。
発議とは、憲法改正案が議決されることです。この要件は非常に厳しいものとなっています。しっかり覚えましょうね。
4 憲法改正について国民の承認を得るには、特別の国民投票において、その3分の2以上の賛成を得ることが必要である。
この選択肢は誤りですね。
国民の承認に必要な要件は「過半数の賛成」です。
選択肢の1も4も96条の1項により定められています。
5 憲法の改正について国民の承認が得られた場合、内閣総理大臣は、直ちにこれを公布しなくてはならない。
憲法改正の最後の手続きである公布についてです。
この選択肢は誤りです。
公布をするのは「天皇」ですね。96条2項により天皇が「国民の名」で公布するのでした。
国民の名で、というのは国民自身が憲法改正を行ったことを示すためです。
憲法改正が成立するか否かには、主権者である国民の意思が重要な鍵を握っていることがわかりますね。
じゃぁ次コレ解いてみよう!
■□ 平成8年 問題22 □■
日本国憲法における国会に関する次の記述のうち、出席議員の3分の2以上の多数による議決を必要とするものはいくつあるか。
ア 憲法の改正を発議するとき。
イ 秘密会を開くとき。
ウ 議員を除名するとき。
エ 議員の資格に関する争訟の裁判により、議員の議席を失わせるとき。
オ 条約の締結を承認するとき。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
5 五つ
いかがでしょうか?
正解は選択肢の3です。
ポイントは「出席議員」の「3分の2以上」というう要件ですね、イ・ウ・エの3つに必要です。
この問題は知識の整理をするにはとても良い問題です。
先ほどの問題では憲法改正に絞った問題でしたが、国会は議事機関ですから、他にも議決しなければならない事項があります。
通常、必要とされる要件は「この憲法に特別の定めのある場合を除いては」出席議員の過半数で決します(憲法56条2項)。
では、「この憲法に特別の定めのある場合」とは、どのような場合でしょうか?
この問題はそれをまとめて出題しているのです。
イは憲法57条1項により定められています。
ウは憲法58条2項、エは憲法55条により定められています。
ウとエは議院の権能である点にも注目してください。
出題はされていませんが、もうひとつ、出席議員の3分の2以上の議決が必要なものとしては、法律案の再議決(憲法59条2項)があります。
これも覚えておきましょう。
議事機関の問題については、このように特別な議決要件を必要とするものが問われることが多いのです。
議事機関としては地方議会(地方自治法)、株主総会(会社法)に必要とされる特別な多数を必要とされる議決要件も一緒にまとめておかれると記憶量は増大します!