働き方改革に伴う労働基準法等の改正
近年の日本では、総人口の減少を上回るペースで労働者人口(15歳~64歳)が減少するといった労働力不足が課題となっています。
労働力不足を解消するためには、働き手を増やし、出生率を上げ、労働生産性を上げる必要があり、そのためには、
(1)長時間労働を解消し、
(2)多様な働き方を実現可能とし、
(3)高齢者や女性の就労を促進する
等を背景として、原則として2019年4月より「働き方改革」に関連する法律が施行されます。
企業の労働管理者が注視をしなければならない主な改正は次のとおりです。
1.時間外労働の上限規制の導入(労働基準法)
法定労働時間を超える時間外労働の上限が具体的に法制化され、これに違反した場合には罰則規定が設けられました。
※中小企業は2020年4月1日より、建設業や自動車運転、医師などの一定の業種については2024年4月1日より施行されます。
2.中小企業における時間外労働に対する割増賃金の猶予措置廃止(労働基準法)
長時間労働の抑制策として月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が5割以上とされていましたが、これについて中小企業については猶予措置がなされていました。この猶予措置は2023年4月1日に廃止されることとなりました。
3.年次有給休暇の確実な取得(労働基準法)
年次有給休暇の取得は、余暇を保障する目的で付与されていましたが、労働者が申出にくい環境もありましたので、年間で10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、労働者からの申し出等で5日に満たない場合には、使用者は時季を指定して5日の年次有給休暇を与えることが義務化されました。
4.労働時間の状況把握の実効性確保(労働安全衛生法)
事業主に対して、労働者の労働時間の把握が義務付けられました。タイムカード、パソコンの使用時間など客観的な管理が必要となります。
5.同一労働同一賃金(パートタイム・有期雇用労働法)
正社員と非正規労働者の不合理な待遇の格差を禁止し、待遇に関して労働者に対する説明義務が強化されます。この規定は大企業では2020年4月1日から、中小企業では2021年4月1日からの適用となります。
6.高度プロフェッショナル制度の創設(労働基準法)
高度な専門的知識を必要とし、業務に従事した時間と成果との関連性が強くない業種(研究、開発、コンサルタント業務等)に就く労働者で、平均給与の3倍相当額以上(約1,000万円以上)を稼いでいる者については、労働基準法の適用がなく、労働時間の概念を撤廃した「成果型労働制」が導入されることとなりました。成果型と言えば、裁量労働制がありますが、裁量労働制は定められた成果を得るために係る時間を予めみなした時間によって労働時間の計算を行う制度で、深夜勤務では割増賃金が支払われるところ等が高度プロフェッショナル制度とは異なります。
7.フレックスタイム制の見直し(労働基準法)
所定労働時間の枠内で、労働者が始業から就業時間を自由に選べる制度で、清算期間が1ヵ月(月を跨ぐ調整ができない)から3ヵ月に延長されました。
→ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html
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