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行政書士受験生の皆さん、こんにちは。

大原の専任講師の松井です。

4月19日に衆議院議員選挙区画定審議会は首相に対して衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定案についての勧告を行いました。

本試験では昨年、参議院議員選挙区選出議員の選挙区及び定数が公職選挙法の改正により変更された点について出題されました。

今度は衆議院選挙制度の見直しというわけです。

とはいえ、まだ改定案の勧告という段階ですから、これから法改正に着手するということです。

それでは改定案の概要を紹介します。

今回の改定案においては何といっても「衆議院小選挙区選出議員の選挙区間における人口較差の是正措置」が注目点ですね。つまり、「1票の較差」をどのようにして縮小するか、です。

まず、衆議院議員定数を小選挙区で6人減らし、比例区で4人減らし、合計で10人減らす予定です。

小選挙区選挙の定数を289人、比例代表選挙の定数を176人とするというわけですね。

現行制度では衆議院議員定数は小選挙区では295人、比例区は180人、合計では475人ですよ。

次に小選挙区、比例区ともに議員定数の配分については「アダムズ方式」により行う予定です。

小選挙区については従来、「一人別枠方式」により行われてきました。

これは各都道府県に一議席を配分し、残りの議席を人口比例で都道府県に配分するという方式です。

最大較差が1対2.30に拡大した2009(平成21)年の総選挙について、判例はこの方式の合理性は失われたとして、同方式が違憲状態にあると判断しています(最大判平成23.3.23)。

今回導入しようとしている「アダムズ方式」による都道府県への議席配分は、各都道府県の人口を一定の数値で割り算して、それぞれの割り算の答えの整数に小数点以下を切り上げられて得られた数の合計数が小選挙区選挙の定数と一致するように行うものです。

ちょっと難しいですね。参考程度でいいですよ。

小選挙区選挙においては選挙区間の1票の較差を、2倍未満とすることが最重要課題であり、そのための最も適した方法がアダムズ方式であると審議会は考えたということですね。

現在、北海道1区と宮城5区で2.176倍の較差が生じています。

このアダムズ方式によれば、今回の改定案では神奈川16区と鳥取2区で最大較差1.956倍、平成32年の見込み人口においては東京22区と鳥取1区で最大較差1.999倍になると試算されています。

改定案についてご紹介しましたが、法改正についてはこれからの問題です。

皆さんは憲法テキストの最大判昭和51.4.14最大判昭和60.7.17の2つの判例を確認して下さい。

いかがでしたでしょうか?
ありがとうございました。

※ なお、その後、改正公職選挙法が7月16日に施行されました。その結果、衆議院の議席数は、小選挙区289議席、比例代表176議席の合わせて465議席となりました。これは、戦後で最も少ない議席数になります。小選挙区においては、青森・岩手・三重・奈良・熊本・鹿児島の6県で1議席ずつ減らして、295議席から289議席に再編されます。また、比例代表においても、東北・北関東・近畿・九州の4つのブロックで1議席ずつ減らして、180議席から176議席に再編されます。

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