本試験問題にチャレンジ!
こんにちは。
資格の大原行政書士講座の松井です。
このコーナーでは、過去の試験で出題された問題をピックアップしてご紹介しています。
記事の後ろの方に解答と解説を載せますので、クイズ感覚でチャレンジしてみてください。
平成29年度の試験結果の発表から1か月ほど経ちましたが、この記事を読んでくださっている方は今年の試験合格を目指すべく、すでに受験勉強を始めていらっしゃると思います。
昨年の試験で惜しくも合格を逃した方はもしかしてどう学習を進めていけばよいのか、お悩みではありませんか?
昨年と同じ方法でいいのだろうか?
今年は何か違う方法でやったほうがいいのか?など思案されているのではないでしょうか?
それならば、ぜひ昨年の試験問題を振り返ることから始めてください。
前回のメルマガでも試験の振り返りのお話をいたしました。
今回は出題内容について振り返りましょう。
■■■ 平成21年 問題12 ■■■
問題12 行政手続法1条が定める同法の目的に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 行政手続法は、政府の諸活動について国民に説明する責務が全うされるようにすることを主な目的とする。
2 行政手続法は、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することを目的とする。
3 行政手続法は、簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。
4 行政手続法は、国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的とする。
5 行政手続法は、国の行政事務の能率的な遂行のために必要な組織を整えることによって、公務の民主的かつ能率的な運営を保障することを目的とする。
いかがでしょうか?
正解は「2」ですね。
「これは簡単!」と思われた方は学習が順調に進んでいらっしゃいますね。
行政手続法1条1項には法律が何のために定められたのか、が書かれていますのでとても重要です。
選択肢の中にある
「行政運営における公正の確保と透明性の向上」
「国民の権利利益の保護に資する」
は覚えておきべくキーワードですね!
ちょっと自信が無かった方はさっそく行政手続法1条を読んでみてください!
そしてもう一つ大切なこと、それは他の選択肢は何の条文なのか?を確認することです。
ほかの選択肢に誤りの肢として混ぜられている法律についても試験委員は関心を持っているわけですから、もしかしたら今年、出題されるかもしれませんよね。
解説に法律名を示しておきますので、必ず目を通してください。
1× 政府の諸活動について国民に説明する責務が全うされるようにすることを主な目的としているのは、情報公開法等です(cf.情報公開法1条)。
2○ 行政手続法1条1項
3× 簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的としているのは、行政不服審査法です(行政不服審査法1条1項)。
行政不服審査法は平成28年4月1日から改正法が施行されましたが、簡易迅速な手続」「国民の権利利益の救済」という言葉は含まれていますので新法においても覚えておくべきキーワードですね。
4× 国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的としているのは、情報公開法です(情報公開法1条)。
5× 国の行政事務の能率的な遂行のために必要な組織を整えることを目的としているのは、国家行政組織法です(国家行政組織法1条)。
また、公務の民主的かつ能率的な運営を保障することを目的としているのは、国家公務員法です(国家公務員法1条1項)。
じゃぁ次コレ解いてみよう!
なんと!
平成21年に出題された行政手続法1条1項が空欄補充の形式になって平成29年に戻ってきました。
資格試験において、「歴史は繰返す」ことは確実に言えると思います。
■□ 平成29年 問題11 ■□
次の文章は、行政手続法 1 条 1 項の条文である。空欄【ア】?【オ】に当てはまる語句の組合せとして、正しいものはどれか。
第 1 条
この法律は、【ア】、行政指導及び 【イ】に関する手続並びに【ウ】等を定める手続に関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における【エ】 の確保と透明性(略)の向上を図り、もって【オ】 に資することを目的とする。
ア イ ウ エ オ
1 行政行為 届出 行政計画 迅速性 国民の権利利益の保護
2 処分 公証 行政契約 効率性 行政の適正な運営
3 行政行為 公証 命令 公正 国民の権利利益の保護
4 行政行為 通知 行政計画 効率性 行政の適正な運営
5 処分 届出 命令 公正 国民の権利利益の保護
答えは「5」ですね。
空欄になっている箇所の語句が覚えるべきキーワードというわけです。
選択式での出題も考えられますね。
ちなみに・・・
平成13年度に行政機関情報公開法の1条が出題されています。
■□ 平成13年 ■□
次は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)第1条(目的)の条文である。空欄【ア】、【イ】、【ウ】に入る語句の組合せとして、正しいものはどれか。
「この法律は、【ア】の理念にのっとり、行政文書の開示を請求する権利につき定めること等により、行政機関の保有する情報の一層の公開を図り、もって政府の有するその諸活動を国民に【イ】する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判の下にある公正で【ウ】な行政の推進に資することを目的とする。」
ア イ ウ
1 国民主権 公開 民主的
2 人権保障 説明 透明
3 国民主権 説明 透明
4 人権保障 公開 透明
5 国民主権 説明 民主的
クイズの解答です!
■□ 平成13年 ■□
解答は「5」ですね。
平成13年に出題されていることが平成21年に選択肢の一つとなって出題されているのです。
歴史は繰返していますね!
たまに、「過去問を検討することに意味はない」とおっしゃる方がいらっしゃいますが、そんなことはありません。
過去問検討をすることにより、どこをどのように覚えればよいのか、明確になります。
条文をただ読んでいても印象に残りにくいですが、正誤を判断できるキーワードを意識しながら読むと頭に入ってくると思います。
年度ごとの出題を比較したり、各年度の出題の推移を見てみると、新たに発見があると思います。
さらに、上記のとおり、過去出題された論点から再び出題がされることもあります。