行政書士の受験生の皆さん、こんにちは。
大原の専任講師の松井です。
2回目のテーマは「即時取得」です。
A所有のカメラをBが処分権限なしに占有していたところ、CがBに所有権があると誤信し、かつ、そのように信じたことに過失なくBから同カメラを買い受けた。この場合に関する次の記述について、、民法の規定および判例に照らし、正誤を判断してください。(平成23年度 本試験)
まず、次の問題を考えてみてください。
1Cは、カメラの占有を平穏、公然、善意、無過失で始めたときにカメラの所有権を即時取得するが、その要件としての平穏、公然、善意は推定されるのに対して、無過失は推定されないので、Cは無過失の占有であることを自ら立証しなければならない。
本問は「×」です。
判例は、占有者は、民法188条により、占有物の上に行使する権利を適法に有するものと推定されるので、占有者からの譲受人たる占有取得者には過失がないものと推定され、占有取得者は自己に過失のないことを立証する必要はないとしています。本肢の場合、Cは無過失の占有であることを自ら立証する必要はありません(最判昭和41.6.9)。
では、次の問題を考えてみてください。
2Bは、Cにカメラを売却し、以後Cのために占有する旨の意思表示をし、引き続きカメラを所持していた場合、Cは、一応即時取得によりカメラの所有権を取得するが、現実の引渡しを受けるまでは、その所有権の取得は確定的ではなく、後に現実の引渡しを受けることによって確定的に所有権を取得する。
本問は「×」です。
判例は、無権利者から動産の譲渡を受けた場合、譲受人が民法192条により所有権を取得するには、一般外観上従来の占有状態に変更を生ずる占有を取得することを必要とし、いわゆる占有改定の方法による取得をもっては足らないとしています。本肢の場合、Cは、占有改定の方法による取得の時点で、カメラの所有権を取得するとはいえません(最判昭和35.2.11)。
即時取得に関する重要判例ですので、しっかり復習してくださいね。
ところで、基本に戻り、192条の要件を思い出してみましょう!すぐに言えますか?要件は4つありました。
さて、即時取得の要件の4つです。
1.目的物が動産であること。
2.前主が目的物を占有していたが、その処分権限がないこと。
3.有効な取引行為による取得であること。
4.取得者が平穏・公然・善意無過失に占有を取得したこと。
いかがでしたでしょうか?
ありがとうございました。