【記述対策】予想問題:行政法1
Aの親権者Bは、C市の市立保育園への入園申込みを行った。しかし、C市福祉事務所長は、Aの身体上の障害を理由として、当該申込みを不承諾とする処分をした。これを不服としたBは、入園承諾の義務付け訴訟と不承諾処分の取消訴訟を併合して提起した上で、訴訟係属中に暫定的にAがC市の市立保育園に入園することができるようにしたいと考えている。この場合、Bは裁判所に対してどのような手続をとれば良いか。また、暫定的にAがC市の市立保育園に入園することが認められるには、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがないこと、本案について理由があるとみえることのほか、どのような要件を満たす必要があるか。行政事件訴訟法の規定を踏まえて、40字程度で記述しなさい。なお、本件義務付け訴訟と取消訴訟は訴訟要件を満たしており、内閣総理大臣の異議はないものとする。
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1.正解例
仮の義務付けの申立てを行い、償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があればよい。(43字)
2.解説
(1) 問題文の検討
本問の場合、
「訴訟係属中に暫定的にAがC市の市立保育園に入園することができるようにしたいと考えている。この場合、Bは裁判所に対してどのような手続をとれば良いか」
「暫定的にAがC市の市立保育園に入園することが認められるには、・・・どのような要件を満たす必要があるか」
とある。
よって、本問では、訴訟係属中に暫定的にAがC市の市立保育園に入園するためにBがとるべき手続と、当該暫定的に入園が認められるための要件を書けばよいことがわかる。
(2) 仮の義務付け
原告の権利利益を暫定的に保護するため、取消訴訟又は無効確認訴訟においては「執行停止」、義務付け訴訟においては「仮の義務付け」、差止め訴訟においては「仮の差止め」の制度が行政事件訴訟法に定められている。
(3) 仮の義務付けの要件
仮の義務付けの要件は、次の通りである。なお、本案訴訟(義務付け訴訟)が提起されていること及び、仮の義務付けの申立てがされていることが必要である(行政事件訴訟法37条の5第1項)。
① 償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があること。
② 本案について理由があるとみえること。
③ 公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがないこと。
なお、申立人側が疎明しなければならない要件を「積極要件」といい、行政庁側が疎明しなければならない要件を「消極要件」という。
上記の要件のうち、①②は「積極要件」であるため、申立人側が疎明しなければならず、③は「消極要件」であるため、行政庁側が疎明しなければならない。