皆さん、こんにちは。
『資格の大原』で行政書士講座を担当しております「松井和美」と申します。
このブログでは、時事問題について試験に出題されそうなものを厳選して、わかりやすい解説とともに配信してまいります。一緒に楽しく学習していきましょう!
時事問題で注目するべきものは、社会問題について報道しているニュースです。
社会問題となっているならば、政府もその問題について改善策を設ける、新しい法律を作る、などの対策をとっているはずです。試験対策としては、社会問題の背景を知り、政府の対策と関連づけていくことが大切です。
3月のニュースで
「繁忙期の1か月の時間外労働の上限規制の設定に向けた協議は「月100時間未満」という政府の要請を日本経済団体連合会側が受け入れる方向で決着が図られた」
という報道がありました。
時間外労働というのは“残業”です。
このニュースは“どんなに忙しくても労働者に残業させられるのは1か月、100時間未満でなければならない”という方向性で政府と経営者側が合意をしたという意味です。
なぜ、政府はこのような要請をしているのでしょうか?
そもそも労働問題は政府の「ニッポン一億総活躍プラン」のなかでとり上げられています。
このプランは女性も男性も、お年寄りも若者も、一度失敗を経験した方も、障害や難病のある方も、家庭で、職場で、地域で、あらゆる場で、誰もが活躍できる、いわば全員参加型の一億総活躍社会を実現することを目標としています。
このプランを実現するための取り組みとして、「働き方改革」があり、そのなかで「長時間労働の是正」に対する取り組みが示されています。
労働基準法によれば一日8時間、一週40時間まで労働者を労働させることができるとされています。
けれど、労働者と使用者との協定(労使協定)を結べば、この法律で定められた時間を超えて労働させることができるのです。
例えば、デパートでのお歳暮商戦の時期などをイメージしてください。
この労使協定による場合でも、上限はあります。厚生労働省が定めた基準によれば一か月45時間、一年間360時間と告示されています。
さらに、納期のひっ迫などの特別事情がある場合にはこの上限を超えて労働させることができる、という特別条項付き協定を結ぶことができることも告示されています。
今回のニュースは、告示されているこの特別条項付き協定による時間外労働時間に罰則付きで月100時間未満の上限を設けようという政府の要請を使用者側が受け入れた、ということを報じています。
具体的な法改正はこれからです。
いかがでしたでしょうか?
ありがとうございました。