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行政書士受験生の皆さん、こんにちは。

大原の専任講師の松井です。

今回から法令科目についてのお話です。

民法の問題を中心に考えつつ、要件効果を復習していきましょう!気分を新たにして頑張っていきましょうね。

1回目のテーマは「無権代理」です。

次の文章の正誤を判断してください。

「Aの子Bが、Aに無断でAの代理人としてA所有の土地をCに売却する契約を結んだ。CはAが追認した後であっても、この売買契約を取り消すことができる。」(平成20年 本試験問題)

答えは「×」です。

本問では、相手方Cは本人Aが追認した後は、この売買契約を取り消すことはできないからです。

では、順を追って考えてみましょう。

まず、問題文に「Bが、Aに無断でAの代理人としてA所有の土地をCに売却する契約を結んだ。」とありますので、本人がA、無権代理人がB、相手方がCとわかります。

本問で問われているのは、無権代理行為の相手方は、いつまで取り消すことができるか?ということですよね。

その答えは「本人が追認するまで」です。

無権代理行為の相手方の取消権(115条)について、要件を復習しましょう。

相手方が取消権を行使するための要件は次の2つです。
1 本人が追認していないこと。
2 相手方が善意であること。

本人が無権代理行為を追認しますと、追認は原則として契約の時にさかのぼって、その効力が生じます(116条)。

ですから、相手方は本人が追認してしまった後では取消すことができないのです(115条)。

次に以下の問題の正誤を判断してみてください。

「AがB所有の土地をCに売却した。AがBの代理人と称して売却した場合、代理権のないことを知らなかったCがこの売買契約を取り消せば、BはもはやAの代理行為を追認することはできない。」(平成19年 本試験問題)

答えは「」です。

本人がB、無権代理人がA、相手方がCですね。

本人Bが追認できるかどうかについては、そもそも相手方Cが既に取消しているのかを確認する必要があります。

なぜなら、相手方Cが取り消してしまえば、売買契約がなかったことになりますので、本人Bの追認の余地はなくなるからです。

相手方Cは先ほどの取消権の2つの要件を満たしていますね。「代理権のないことを知らなかったC」とありますので相手方Cは善意であることがわかります。

よって、相手方Cが取消権を行使すると、本人Bは追認することはできなくなります。

いかがでしたでしょうか?
ありがとうございました。

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