【記述対策】予想問題:民法2
Bは、A所有の甲土地を建物所有目的にて賃借し、甲土地上にB所有の乙建物を築造した。甲土地の賃借権は未登記であるが、乙建物には同居しているBの妻X名義での所有権保存登記が経由されていた。ところが、Cに甲土地の一部を不法に占拠されてしまっている。そこで、Bは、Cに対して立ち退きを求めたいと考えている。BがCに対して取りうる手段を2つ、40字程度で記述しなさい。
ここで解答が見えないように
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1.正解例
Cに対し、占有訴権を行使するか、所有者Aの妨害排除請求権を代位行使することができる。(42字)
2.解説
(1) 問題文の検討
本問においては、土地賃借人Bが不法占有者Cに対し立ち退きを求めるため、いかなる法的手段を取りうるかが問われている。
賃借人は、次のいずれかにより、賃借権を妨害する第三者を排除することができる。
① 賃借人が不動産賃借権の対抗要件を備えている場合には、不法占有者に対して、賃借権に基づく妨害排除請求権を行使することができる(最判昭和30.4.5)。
② 賃借人が目的物を占有している場合には、賃借権を妨害する第三者に対して、占有訴権を行使することができる(民法197条)。
③ 賃借人は、賃借権を妨害する第三者に対して、所有者(賃貸人)の妨害排除請求権を代位行使することができる(債権者代位権の転用 大判昭和4.12.16)。
(2) 法的手段について
①について(賃借権に基づく妨害排除請求権の行使の可否)
問題文に「甲土地の賃借権は未登記」とあるため、①を行使することはできないように思われる。
ただ、本問においては、「甲土地を建物所有目的にて賃借」とあることから、借地借家法10条1項(借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。)により土地賃借権が対抗力を具備しないかが問題となる。
しかし、判例によれば、他人名義の所有権保存登記によって対抗力を認めることはできない(最大判昭和41.4.27、最判昭和47.6.22)。
したがって、本問におけるBは、①の手段を取ることができない。
②について(占有訴権の行使の可否)
問題文に「乙建物には同居しているBの妻X名義での保存登記が経由されていた」とあることから、Bは、Xと共に甲土地を占有していることがわかる。
したがって、本問におけるBは、占有訴権を行使することが認められる。
③について(所有者の妨害排除請求権の代位行使の可否)
本問におけるCは、Aが所有する甲土地を不法に占拠することにより、Aの有する甲土地の所有権を侵害しているといえる。そのため、Aは、Cに対して、所有権に基づく妨害排除請求権を行使することができる。このような場合、判例によれば、賃借人は、所有者に代位して妨害排除請求権を行使することができる(大判昭和4.12.16)。
したがって、本問におけるBは、AがCに対して有する妨害排除請求権を代位行使することができる。
(3) 結論
よって、本問では、②占有訴権と、③所有者の妨害排除請求権の代位行使につき記述する必要がある。