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本試験問題にチャレンジ!

こんにちは。資格の大原行政書士講座の松井です。

このコーナーでは、過去の試験で出題された問題をピックアップしてご紹介しています。後ろの方に解答と解説を載せますので、クイズ感覚でチャレンジしてみてください。

今回は、行政不服審査法の改正後の初めての試験でしたので、平成29年度本試験の対策のためにどんな問題が出題されたのか、見てみましょう!


◆ ◇平成28年 問題15 ◆◇

行政不服審査法における審理員について、妥当な記述はどれか。

1 審理員による審理手続は、処分についての審査請求においてのみなされ、不作為についての審査請求においてはなされない。

2 審理員は、審査庁に所属する職員のうちから指名され、審査庁となるべき行政庁は、審理員となるべき者の名簿を作成するよう努めなければならない。

3 審理員は、処分についての審査請求において、必要があると認める場合には、処分庁に対して、処分の執行停止をすべき旨を命ずることができる。

4 審理員は、審理手続を終結したときは、審理手続の結果に関する調書を作成し、審査庁に提出するが、その中では、審査庁のなすべき裁決に関する意見の記載はなされない。

5 審理員は、行政不服審査法が定める例外に該当する場合を除いて、審理手続を終結するに先立ち、行政不服審査会等に諮問しなければならない。


改正により初めて登場した「審理員」についての出題です。

いかがでしょうか?

正解は「2」です。

条文をしっかり読んでいたかどうか、が得点できるかどうかの分岐点でしたね。

では、肢ごとに検討しましょう。

1× 審理員の審理手続きは、処分についての審査請求だけでなく、不作為についての審査請求においてもなされます(行政不服審査法9条)。

2○ 行政不服審査法9条、17条の内容の通りです。

3× 審理員は、必要があると認める場合には、審査庁に対し、執行停止をすべき旨の「意見書を提出することができ」ます(行政不服審査法40条)。

よって、処分の執行停止をすべき旨を命ずることができるわけではありません。

4× 審理員は、審理手続を終結したときは、遅滞なく、審査庁がすべき裁決に関する意見書(以下「審理員意見書」という。)を作成しなければなりません(行政不服審査法42条)。

よって、審査庁のなすべき裁決に関する意見の記載もなされます。

5× このような規定はありません。

じゃぁ次コレ解いてみよう


◆◇ 平成28年 問題16 ◆◇

問題16 行政不服審査法の定める審査請求に対する裁決に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 処分についての審査請求が不適法である場合や、審査請求が理由がない場合には、審査庁は、裁決で当該審査請求を却下するが、このような裁決には理由を記載しなければならない。

2 処分についての審査請求に対する認容裁決で、当該処分を変更することができるのは、審査庁が処分庁の上級行政庁または処分庁の場合に限られるが、審査庁が処分庁の場合は、審査請求人の不利益に当該処分を変更することもできる。

3 不作為についての審査請求が当該不作為に係る処分についての申請から相当の期間が経過しないでされたものである場合その他不適法である場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する。

4 法令に基づく申請を却下し、または棄却する処分の全部または一部を取り消す場合において、審査庁が処分庁の上級行政庁である場合、当該審査庁は、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、自らその処分を行うことができる。

5 不作為についての審査請求が理由がある場合において、審査庁が不作為庁の上級行政庁である場合、審査庁は、裁決で当該不作為が違法または不当である旨を宣言するが、当該不作為庁に対し、一定の処分をすべき旨を命ずることはできない。


いかがでしょうか?

正解は「3」ですね。

「裁決」は重要なテーマですね。やはり出題されました。

1× 処分についての審査請求が理由がない場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を「棄却」します(行政不服審査法45条2項)。

2× 処分についての審査請求に対する認容裁決で当該処分を変更することができる場合でも、審査請求人の不利益に変更することはできません(行政不服審査法48条)。

3○ 行政不服審査法49条1項の内容の通りです。

4× 審査庁が処分庁の上級行政庁である場合、当該処分庁に対し、当該処分をすべき旨を命ずることはできるが、自らその処分を行うことはできません(行政不服審査法46条2項一号)。

5× 不作為についての審査請求が理由がある場合には、審査庁は、裁決で、当該不作為が違法又は不当である旨を宣言する。

この場合において、不作為庁の上級行政庁である審査庁は、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、当該不作為庁に対し、当該処分をすべき旨を命ずることができます(行政不服審査法49条3項一号)。

行政不服審査法は行政手続法とともに、得点源です。

頑張って学習しましょう!

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