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本試験問題にチャレンジ!

こんにちは。資格の大原行政書士講座専任講師の松井です。

受験生の皆様、学習は進んでいらっしゃるでしょうか?

ちょっと疲れが出てきました、というあなた、テレビを見てみましょう。

学習に関連するネタ、いっぱい報道されていますよ。

賢い受験生はテレビのネタも学習に利用するのです!

このコーナーでは、過去の行政書士試験で出題された問題をピックアップしてご紹介しています。

メルマガの後ろの方に解答と解説を載せますので、クイズ感覚でチャレンジしてみてください。


■■■ 平成13年 問題18 選択肢1・2 ■■■

次の記述は、内閣と国会間の関係との比較において、地方公共団体の長と議会との関係を述べたものです。

内容の正誤を判断してください。

1 議会において地方公共団体の長に対する不信任議決が行われたときは、地方公共団体の長は、内閣同様、10日以内に解散権を行使しないかぎり、その職を失う。


まず、結論を申しましょう。

解答は「○」です。

議会において、長の不信任の議決をいたときは、直ちに議長からその旨を長に通知しなければなりません。この場合においては、長は、その通知を受けた日から10日以内に議会を解散することができます(地方自治法178条1項)。

長が議会を解散しない場合は通知を受けた日から10日を経過した日に長は失職します(地方自治法178条2項)。

内閣については日本国憲法69条に定められています。

では、この問題に続いてもう1問、解いてみて下さい。


2 地方公共団体の長は、議会の不信任議決を受けて解散権を行使することができるが、内閣と異なり、信任決議案の否決の場合の解散ということはない。


これは条文を読んでいるかどうかが問われるところですね。

地方自治法178条1項、2項と日本国憲法69条を読み比べてみて下さい。

地方自治法178条の1項、2項には議会が「長の不信任の議決をした場合には」という表現しか出てきません。

一方、憲法の69条には衆議院で「不信任の決議案を可決」あるいは「信任の決議案を否決」という2つの表現が出てきます。

この違いが問われました。

なぜ、この2問を解いて頂いたかと申しますと、地方政治の形態と国の政治形態とを比較してみてほしかったからです。

地方政治の形態と国の政治形態とは根本的に異なります。

国の政治形態は議院内閣制を採用しています(憲法66条3項、67条1項)。

つまり、内閣は国会の信任に依拠して成立していますから、両者の間には基本的には連携があるといえます、

これに対して地方政治の形態は長と議会の議員はそれぞれ別々に住民による直接選挙によって選出されています。基本的には長と議会の間には連携は無いということになります。

しかし、国の政治形態の場合も地方政治の形態の場合も、議会からの不信任に対し、内閣や地方公共団体がの長が議会の解散権を行使できるという点においては共通しています。

「違う制度だけど共通点がある」という箇所は試験でもよく出題される事項ですね。


■■■ 平成26年 問題23 選択肢イ ■■■

地方自治法に定める、普通地方公共団体の長と議会の関係に関する次の記述について、正誤を判断してください。

イ 当該普通地方公共団体の議会が長の不信任の議決をした場合において、長は議会を解散することができ、その解散後初めて招集された議会においては、再び不信任の議決を行うことはできない。


こちらは誤りの記述なので「×」です。

前半は先ほどの問題と同じ内容ですね、

後半ですが、解散後初めて招集された議会においても、再び不信任の議決を行うことができる(地方自治法178条2項)とあるからです。

コレも一緒に押さえておこう!

では次にこちらも学習しておきましょう。


■■■ 平成18年 問題23 選択肢4 ■■■

以下の選択肢の内容の正誤を判断してください。

4 首長等の解職を求める直接請求は、あくまでも解職請求権の行使を議会に求めるものであり、直接請求が成立した場合においても、首長を解職するか否かの最終判断は議会が行う。


この選択肢の内容は「×」です。

首長の解職を求める直接請求が成立した場合、解職するか否かの最終判断は解職投票で行われる(地方自治法83条)からです。

直接請求制度の問題です。これもよく出題されます。

なぜかといいますと、国の政治形態には無いものだからです。

地方政治の形態は地方自治の本旨に基づいて行われます(憲法92条、地方自治法1条)。地方自治の本旨とは住民自治と団体自治の2つです。

住民自治とは住民の意思を地方政治に反映させるという意味です。

そこで住民が「この長では良い政治を行ってもらえない!」と思った場合には原則として選挙権者の3分の1以上の署名が集まった場合、選挙人による解職投票が行われ、その投票において、過半数の同意があったときは、長は解職(リコール)されるのです(地方自治法81条、83条)。

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